ヨルガオ-午前0時の逃避行-
ヘルメットを被って、私は出口を探す。
アイジたちの目的は由良くんだったから、倉庫を出た私を追ってくる者は誰もいなかった。
電話……。
助けを呼ばなきゃ……。
〈不在着信〉
スマホの画面に表示された不在着信。
全部が澄ちゃんからのものだった。
誰でもいいから、早く連絡を取らないと……。
電話をかけようとした、瞬間。
ブオーン────
湿った風が私の髪やスカートを揺らす。
数台のバイクが、横を走り抜けていった。
そのうちの1台──最後尾を走っていたバイクが停止。
「光莉!」
「澄ちゃん……?」
乗っていたのは、澄ちゃんと柊哉くんだった。
ということは……。