ヨルガオ-午前0時の逃避行-
◇Side YURA
あーくそっ。油断した。
腕から流れる血。
押さえても溢れ出す。
半分は沈めた。けど、残り半分。
ブンッ────
落ちてきた鉄パイプをギリギリでかわす。
相手もそうだが、俺も動きが鈍くなってきた。
「ぐおっ……」
空を切った鈍器を奪い、腹に蹴りを入れる。
死ぬ間際の虫のようにのたうち回る男。
ぼーっと眺めている暇はない。
その隙を狙って、今度は別方向から利器が飛んでくる。
ちっ。面倒くせぇ。
こいつら、本気で俺を殺す気でいるらしい。
そんな奴らに正面切って対抗するのもバカバカしいが……。
光莉がなるべく遠くに逃げるまでは。
「あの女……本当に、お前の女だったんだな……」
「は?」
「だったら、もっと……利用しておくんだった」
昇龍のアイジが、息切れ切れに言う。