ヨルガオ-午前0時の逃避行-

◇Side YURA



あーくそっ。油断した。


腕から流れる血。

押さえても溢れ出す。


半分は沈めた。けど、残り半分。



ブンッ────


落ちてきた鉄パイプをギリギリでかわす。


相手もそうだが、俺も動きが鈍くなってきた。


「ぐおっ……」


空を切った鈍器を奪い、腹に蹴りを入れる。

死ぬ間際の虫のようにのたうち回る男。


ぼーっと眺めている暇はない。


その隙を狙って、今度は別方向から利器が飛んでくる。


ちっ。面倒くせぇ。

こいつら、本気で俺を殺す気でいるらしい。


そんな奴らに正面切って対抗するのもバカバカしいが……。


光莉がなるべく遠くに逃げるまでは。



「あの女……本当に、お前の女だったんだな……」

「は?」

「だったら、もっと……利用しておくんだった」


昇龍のアイジが、息切れ切れに言う。


< 174 / 267 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop