ヨルガオ-午前0時の逃避行-

しばらくその場にいると、2台のバイクが倉庫から出てきた。

反射的に柊哉くんが私たちの前に立ってくれる。


だけど、バイクは私たちに目もくれず通り過ぎた。


「片づいたみたいだ。行こう」



倉庫に戻ると、柊哉くんの言った通り、争いは止んでいた。


倒れる男たち。

腕を押さえる由良くん。


そして、由良くんを取り囲む柊哉くんの仲間。


彼らは、由良くんが総長をしていたチームの仲間でもあるらしい。


……腕?


「由良くん!」


私は思わず叫んで、駆け寄った。



由良くんの腕を染める血。

生々しく、痛々しい。


「光莉。無事だったか」

「由良くん……ごめんなさいっ……私のせいで」

「何言ってんだよ。俺のせいで、お前が巻き込まれたんだろ」


緩んだ涙腺から涙が流れ出る。

そんな私の頭を、腕から血が出ている方の手で由良くんが弱く撫でる。

< 178 / 267 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop