ヨルガオ-午前0時の逃避行-
しばらくその場にいると、2台のバイクが倉庫から出てきた。
反射的に柊哉くんが私たちの前に立ってくれる。
だけど、バイクは私たちに目もくれず通り過ぎた。
「片づいたみたいだ。行こう」
倉庫に戻ると、柊哉くんの言った通り、争いは止んでいた。
倒れる男たち。
腕を押さえる由良くん。
そして、由良くんを取り囲む柊哉くんの仲間。
彼らは、由良くんが総長をしていたチームの仲間でもあるらしい。
……腕?
「由良くん!」
私は思わず叫んで、駆け寄った。
由良くんの腕を染める血。
生々しく、痛々しい。
「光莉。無事だったか」
「由良くん……ごめんなさいっ……私のせいで」
「何言ってんだよ。俺のせいで、お前が巻き込まれたんだろ」
緩んだ涙腺から涙が流れ出る。
そんな私の頭を、腕から血が出ている方の手で由良くんが弱く撫でる。