ヨルガオ-午前0時の逃避行-
玄関に置いてあるお母さんのヒール靴を見てひと安心。
やっぱり彼氏はもう帰ったみたい。
ちょうどそのとき。
洗面所のドアが開いて、風呂上がりのお母さんが出てきた。
高身長の母。
昔はモデルを目指していたらしく、美意識が高め。
(子どもの私が言うのもなんだけど)若く見える。
実際、年齢も若い。確か37歳だったかな。
だからって彼氏を作っていい理由にはならないけど。
「あら。おかえり」
時刻はまもなく0時。
私がいることに驚きながらも、一切気にしていない様子のお母さん。
「ただいま」
「お風呂空いたわよ」
「うん……あとで入る」
それだけ聞くと、リビングへ行ってしまった。