ヨルガオ-午前0時の逃避行-
傷の手当てをし服を着た由良くんは、再び私の頬を撫でた。
「悪かったな」
掠れるその声に胸がぎゅっと締めつけられる。
「ううん」
「俺が撒いた種だ。……俺が杏樹と乗り込んだりしなきゃ」
杏樹──昇龍の男も言っていた名前。
……どうして、由良くん。
そんな寂しそうな顔をしているの?
「杏樹って……?」
また誤魔化されると思った。
関係ないと言われる覚悟で訊いた。
だけど。
薄っすらと穏やかに、
「俺の親友」
由良くんは笑った。