ヨルガオ-午前0時の逃避行-
杏樹は海が好きで、俺はバイクが好きだった。
「16になったらさ、一緒にバイクの免許取ろうぜ」
「俺は元々そのつもりだけど、杏樹も?」
「バイクがあればいつでも海に行き放題じゃん」
15の冬、俺たちは約束した。
そして、9月の俺の誕生日に合わせて一緒に免許を取り、バイト代でバイクを買った。
「どうせなら仲間増やしてチーム作ろうぜ」
いつだって何かを始めるのは杏樹の思いつき。
バカで人当たりのいい杏樹のことだ。
すぐに仲間を集めた。
……というより、拾ってきた、と言った方が正しい。
柊哉を含め、みんな俺たちと似た人種──道を外れた奴らだった。