ヨルガオ-午前0時の逃避行-

17になる頃には、それなりに大きなチームになっていた。


「うちってチーム名ないっすよね」

「いらねぇよ。暴走族じゃねぇんだから」

「いや、余所では暴走族認定されてますよ」


暴走族ではない、と俺は思っていた。

ただバイクに乗って走るのが好きなだけで、それにこいつらが勝手についてきているだけの話だと。


ところが、知らぬ間にチーム名のない暴走族になっていたらしい。


「いいねぇ、チーム名。俺は〈杏樹特攻隊〉って名前がいいんじゃないかと思うよ」

「却下」

「なんだと⁉じゃあ由良は、どんな名前がいいんだよ」


なんでもいい。

そう言おうと思ったけど、何か案を出さなければとんでもない名前になりそうだったので、少し考える。


──が、結局、思いつかず。


「空中楼閣」


ふと目についた、誰かのテストの答案用紙に書かれていたその文字を読み上げた。

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