ヨルガオ-午前0時の逃避行-
「由良、あの子!」
俺は杏樹に連れられて、あるカフェに来ていた。
女性客が8割を占める店。
カップルで来るならまだしも、男2人で入るには多少の羞恥を抱かずにはいられないが……。
そんなことお構いなしに、杏樹が店員の女の子をちらちら見る。
「どう思う?」
「はぁ?」
「可愛いよな!いい子だと思う?」
フリルのシャツに茶色のエプロンを合わせた制服は、まあ、控えめに言ってもその子に似合っている。
というのも、ツイストドーナッツのようなツインテールと大きな瞳がいかにも女子を演出していて、甘ったるいバイト服とお似合いだからだ。
可愛いかは、知らない。
いい子かもわからない。
俺はその手の話が苦手だからな。