ヨルガオ-午前0時の逃避行-
「お前まさか……また惚れたのか?」
「だって、俺のタイプにストライクなんだもん」
それ、前にも聞いた。
杏樹はこう見えて、かなり惚れっぽい。
だいたいの恋が一目惚れから始まる。
ただ、タイプは一貫して、砂糖菓子系女子。
常時、猫なで声を発する女。
その多くが計算されたエセ砂糖菓子だったけど、中には本当にいい子もいたので見た目だけでは判断できない。
「あーそう。ならさっさと告って砕けろ」
「酷ぇな!もうちょっと真剣に考えてくれよ、俺の幸せをさ」
「はいはい、考えてます」
もう一度言う。
俺はこの手の話が苦手だ。
「そういや由良って、モテるのに彼女作らないよなー」
「いても面倒なだけだろ」