ヨルガオ-午前0時の逃避行-
ガキの頃、海へ行くのに毎回、俺のお小遣いから電車賃を出させやがって。
結局、一度も返してもらってねぇよ。
花火をしておまわりに追いかけられたとき、一瞬、俺を見捨てようとしただろ。
「片っ端から喧嘩買うのはやめろ」って忠告したのに聞かなくて、一度死に目に遭ったよな。
マジで懲りてくれってずっと思ってた。
バイクの免許を取ろうと思っていたなんて知らなかった。
仲間を増やしたのは、まあいい。
けど、勝手にチームを暴走族にするなよ。
まだある。
……でも。
それを聞くお前がいなきゃ意味ねぇんだよ……。
次から次へと溢れ出る、届かない想い。
俺はそれらを、かみ殺すことしかできなかった。
18の秋、俺は親友を失った。
──香田杏樹、18歳。
俺のたった1人の親友。
あまりにも突然で、早すぎる死だった。