ヨルガオ-午前0時の逃避行-
良い子は寝る時間、って一体何時だろう?
わかんないけど、空が暗くなった時間に出歩く私はきっと良い子じゃない。
背にはコンビニ。
パーカーのポケットに入っているのはスマートフォンと鍵だけ。
今の時代、スマホがあればなんだってできちゃうけど、残念ながらコンビニに用はない。
視界にはアスファルト。
駐車場の車止めブロックに腰を下ろして、何をするでもなくじっと視線を下へ向ける。
時折コンビニを出入りする人から存在を消すように。
「どうしたの?」
幽霊に思われたっていい。
とにかく誰も私に気づかないで。
そう心の中で願っても、声をかけてくる人はいる。
せめてその言葉が心の底から心配するものならよかった。……でも。
見上げると、2人組の男が口元を緩めながら立っていた。
どちらも見た目年齢20代前半くらい。
ふんわり漂ってきたたばこの臭いが鼻腔を刺激する。