ヨルガオ-午前0時の逃避行-
「ゆ……、……んっ……」
キス。そんな可愛くて愛しいものじゃない。
乱暴で押しつけるようなキス。
そこに愛はない。
ただ欲望に任せるだけの口づけとも違う。
荒々しく攻撃的で。
欲情をかき立てることもなければ、身体に熱が帯びることもない。
ただ犯し貪るだけ。
「…………っ……」
酸素を取り入れても、すぐに由良くんの唇と舌が遮断する。
何度も何度も。
……苦しい。
深く入ってくる舌もやっぱり優しくない。
このキスからは愛のかけらを1つも見つけられない。
なのに、怖いと感じない。
一歩的なそれに嫌な記憶がフラッシュバックしそうになっても、嫌だと思わない。
だって……。
息苦しくなって、由良くんの唇が離れる。
「……嫌がれよ」
だってそのキスが、私を傷つけるためにしたものだってわかったから。