ヨルガオ-午前0時の逃避行-

何日かぶりに家に帰ってきた。


生まれてからずっと住んでいるこの家を、「自分の家ではない」と言うには大げさすぎる。

だけど、居場所だとはもう思えない。



夜。私1人の静かな家に、30分程度のタイミングをずらして両親が帰ってきた。


今日は火曜日。

お父さんが決まって帰ってくる日だから、お母さんは絶対に彼氏を連れてこない。


由良くんの家を出たのが火曜日でよかった。

明日からはどうしよう、なんて今は考えない。



リビングに下りると、お父さんはスマホをいじりながら食事中で、お母さんはテレビを見ながら洗濯物を畳んでいた。


両親が帰ってきても、家の静けさは大して変わらない。

生活音が増えたくらい。


相変わらず、世界はいつも通り回っている。

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