ヨルガオ-午前0時の逃避行-
梅雨が明け、季節が変わった。
空の青さも照るお日様も、青葉を揺らすそよ風も。
すべてが、すぐそこまで迫った夏休みを歓迎している。
浮足立つ、高校2年生の夏。
「あづーい……」
澄ちゃんがシャツの裾をパタパタさせながらだらしなく呟いた。
ちらちら見えるおへそがセクシー。
浮足立つといっても、結局──
「休みが来るまで暑さとの戦いだよね」
「だねー」
生産性のない残りの毎日は、夏の暑さに消費だけがされてゆく。
そんな高2の初夏を、私はどこか物足りない気分で過ごしていた。
「ていうか、柊哉遅い」
「まあまあ」
金曜の午後。
4時間目で授業が終わった私たちは、ファミレスで昼食を取ったあと、駅前の広場で柊哉くんを待っていた。
カンカンの陽に照らされて、ベンチに座ること10分。
もうすぐ着くと連絡があった柊哉くんは未だ来ず。
とそこへ。