ヨルガオ-午前0時の逃避行-
性格悪いという言葉にカチンときたのは私。
ろくな男じゃない、にカチンときたのは──
「ろくな男じゃないかは見てから言ってもらおうか」
柊哉くん。
茶髪の男の肩を掴み、穏やかに口角を上げるも、その目は一切笑っていない。
綺麗な銀色の髪はいつだって目立つ。
それに加え、柊哉くんが連れている男性がこれまたかなりの美形。
切れ長の目に通った鼻筋、綺麗な顎のラインが小顔を作る。
何よりも、色素の薄い肌が到底、同じ次元の人とは思えない。
その顔に見覚えがあった。
「ねぇあれ、MIOじゃない?」
「本当だ!」
今、女子高生を中心に人気を集めるインスタグラマー、MIO。
“アンニュイな雰囲気が女子たちの心をわし掴み!”とつい最近、雑誌で紹介されていた。
私のクラスにもファンがいる有名人だ。