ヨルガオ-午前0時の逃避行-

駅の裏側、人通りの少ないところに2台のバイクが止まっていた。


赤色のオートバイと黒色のオートバイ。


黒といっても、グレー味が加わった優しい色。

赤の方が柊哉くんのだって知っているから、黒色のバイクは澪さんのもの。


「光莉ちゃんは澪の後ろに乗って」

「はい、ヘルメット」

「ありがとうございます」


澪さんからヘルメットを受け取って、被る。


「……」

「乗り方知らない?」

「いえ、知ってます」


なかなか乗ろうとしない私を見て、澪さんが首を傾げた。


相手が澪さんだってこともそうだけど、由良くん以外の人のバイクに乗るのが初めてなので緊張するというか……。


違う。ためらっているんだ、私。



「光莉?」

「あ、ごめん。ちょっとぼーっとしてた」


澄ちゃんに呼ばれて、ハッとする。

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