ヨルガオ-午前0時の逃避行-

ためらっていたってしょうがない。

乗らないという選択肢はないのだから……。


私は澪さんの後ろに乗った。


「掴まって」

「はい……」


澪さんの服を控えめに掴んだ。


柊哉くんのバイクの後に続いて出発した。



私と澄ちゃんは、柊哉くんの仲間たち(空中楼閣のみんな)が集まるアジトに招待された。


元々は澄ちゃんだけの予定だったんだけど、

「心細いから一緒に来て」と誘われ私もついて行くことに。


空中楼閣のみんなには昇龍に連れ去られたとき以来会っていなくて、助けてもらったお礼を改めて言いたいとずっと思っていた。


私たちが向かっているのは、そのアジト。


澪さんは風に乗るように優しくバイクを走らせる。

まるで私が優しくされているみたいで、ちょっとだけむず痒い。


だけど、夏の熱を含んだ風には侘しさを覚えた。


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