ヨルガオ-午前0時の逃避行-
夜になったら動き出すような繁華街の一角に、それはあった。
キャバクラやらスナックやらがひしめき合うビルが軒を連ね、通りではキャッチセールスらしき婦人やスーツ姿の男が声をかけまくっている。
こんな場所を制服で歩いていいのかと不安になるけど、カラオケや漫画喫茶、普通の飲食店もあるから時間さえ守れば大丈夫なはず。
4階がテナント募集中になっているビルの地下1階。
ドアを開けると、受付カウンターやソファ、コインロッカーを設けたエントランスが広がる。
一気に別世界に来た感じ。
入口の看板は筆記体だったけど、受付カウンターにはしっかりと活字体で店の名前が。
ここはどうやらナイトクラブらしい……。
「柊哉……ここ、あたしたちが入って大丈夫なの?」
「店が開く前に帰れば大丈夫。ていうか、俺らもみんな未成年だから普通に追い出されるし」
私と澄ちゃんは、2人揃ってわかりやすくほっと息を吐いた。