ヨルガオ-午前0時の逃避行-

だけど、それともう1人──澪さん。


「あっちの席空いてるから座りなよ」


奥の席を指して、そう教えてくれた。



促された通りに、隣の席に座る。


僅かにお尻が沈む程度の硬めなレザーソファ。

ソファと同じ黒色であしらえたローテーブル。


普段だったらお目にかかれないような上質さが、私の緊張を増長させる。


だけど……。


「ひえー。これ、いくらするんだろう。絶対汚せないじゃん」


庶民的かつ率直な意見をこぼす澄ちゃんだけが、安心感を与えてくれる。


「だいじょぶだいじょぶ。高そうなのは見た目だけ」

「どうだろうな。ここのオーナー、こだわりが強いから」


あとから柊哉くんと澪さんがやって来て、同じ席に腰を下ろした。


どうやらここのオーナーと澪さんが知り合いらしく、店が開くまでの間、柊哉くんたちの居場所になっているらしい。


< 224 / 267 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop