ヨルガオ-午前0時の逃避行-
「柊哉くん、気を使わせちゃってごめん。澪さんも。ありがとうございます」
「気にしないで。あいつらには、由良さんが秘密にしてることだからって釘を刺しておいたから」
「……」
柊哉くんの優しい気遣いに私から漏れるのは苦笑い。
そう。由良くんが姿を消したくて見つけた場所を、いくら仲間だとしても私から話すことはできない。
……その建前に、私はずるい本音を隠している。
「俺、柊哉からちょっと聞いただけだからわからないんだけど」
そう前置きをして。
世間話をするかのような声のトーンで、澪さんが訊いてきた。
「一緒に住んでたって」
「……はい」
「今は住んでないみたいだけど、居場所は知ってるんだよな?」
「知ってます」
「会いに行こうとは思わないの?」
一問一答の末、澪さんに問われたのは本音を引き出す質問だった。