ヨルガオ-午前0時の逃避行-
由良くんから拒絶され『消える』と言われて、会いに行けるわけがない。
だけど、居場所を知っている私は、それでも会いに行けたはずなんだ。
諦めたくないなら会いに行くべきだった。
「関わるなって言われて姿を消そうとしたら、誰だって会い辛くなるよ」
「それもあるんだけど……」
澄ちゃんが庇ってくれた言葉、私の本音とは少し違う。
本当は……。
「由良くんの居場所を教えられない理由も、会いに行けない理由も同じなの。もし由良くんに会いに行ったら、由良くんは、今度こそこの町からいなくちゃう気がするから……」
会えなくてもいい。
せめて、あのアパートに繋ぎとめておきたい。
その証拠に、由良くんから預かった合鍵をまだ返せずにいる。
ぎゅっと掴んだスカートのポケットに入ったまま。