ヨルガオ-午前0時の逃避行-

話は、うちの冷めた家庭事情から始まる。


私の両親は、外では愛想よくしているけど、中ではほとんど会話をしない仮面夫婦。


お父さんにもお母さんにも恋人がいて、その存在に気づいていながら私も両親も知らないふりをしてきた。



ある日、お母さんが彼氏を家に連れてくるようになった。


居場所がなくなった私は、夜、コンビニの駐車場で時間を潰していると、知らない男の人から声をかけられた。


『居場所を提供できる』とか言っていたけど、それはナンパよりもっと質の悪いもの。


そんなとき、助けてくれたのが由良くん。


家に帰れない私を、バイクに乗せて海に連れ出してくれた。


何をするわけでもなくただ真っ暗な海をぼーっと眺めるだけ。

それでも、私にとっては救いのような時間だった。


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