ヨルガオ-午前0時の逃避行-
店を出ると、紺色と紫色の水彩で塗りたくったような空が広がっていた。
そして、街は妖しい色を帯び始めている。
「本当に送ってもらわなくていいの?」
「うん。寄りたいところがあるから」
「そっか。またね」
柊哉くんのバイクの後ろに乗った澄ちゃんと別れて、駅に向かって歩き出す。
澪さんに『家まで送ろうか』と言われたけど、断った。
ただ、女子高生が1人で歩くのは危ないので、駅まで送ってもらうことに。
澪さんには悪いことをした。
送ると言ってくれたのに、断ってしまって……。
「俺のバイクに乗るのが嫌だった?」
「……っいえ、そうじゃなくて……」
まるで私の心を読んだかのようなタイミングで訊いてきた。