ヨルガオ-午前0時の逃避行-
「それから……」
まっすぐに由良くんを見上げる。
凪ぐ由良くんの瞳を捕らえて。
「由良くん。今までありがとう」
伝えたのは感謝。
「……っ!」
「ちゃんとお礼を言ってなかったね……。何回も助けてもらって、私に居場所をくれて、バイクに乗せてくれて、いっぱい甘えさせてくれて……全部、ありがとう」
本当の由良くんを見れていなかったと痛感したとき、私は由良くんに伝えていない言葉があることに気がついた。
優しさに隠した寂しさに気づけなくて、ごめん。
でも、たくさん助けてもらって、優しくしてもらって。
私は何よりも「ありがとう」を伝えなきゃいけなかった。