ヨルガオ-午前0時の逃避行-
声もなく呼吸も乱れていない。
そんな中でも流れる雫。
静かに泣く。
そんな私を由良くんの瞳はどう映しているのかな。
早く枯らさないと、なのに。
俯いたことでするりと離れた由良くんの手が、私の背中に回る──と。
「……っ!」
引き寄せられて。
由良くんの胸に収まった。
……ダメだった。
静かに泣くことも許されない。
「ゆらくん……、好きだよ……っ」
「うん」
「ゆらくんがわたしのこと、いやでも……わたし、どこまでも追いかける……」
「うん」
「……でも、やっぱり……いなくならないでほしい……っ」
溢れる想いが勝手に口から出て、呼吸も乱れる。
それでも……。
「いなくならねぇよ」
由良くんの胸の鼓動、声、言葉、匂い、温もりが、私に安心をくれる。
ぎゅっと強く抱きしめられて。
私もそれに応えた。