ヨルガオ-午前0時の逃避行-
「何か買うもんは?」
「……えっと……、今日はいいかな……」
「なら来い」
「え……っ」
顔を上げるより早く、由良くんに手を掴まれた。
え、え……っ、なに……?
「ありがとうございましたー」
気の抜けた店員さんの声。
店を後にする。
由良くんは、駐輪スペースに置いてあるバイクの前で立ち止まった。
そして、冷たく言い放つ。
「乗れ」
──と。
「……やだ」
「はぁ?」
私の口から出るのはわがまま。
ごめん、由良くん。
あなたをとても困らせている。
だけど、そのわがままを訂正することはできない。
だって……。