ヨルガオ-午前0時の逃避行-
「光莉は……最初に会ったときから、杏樹に似てると思った。性格とか見た目は全然違うけど」
「澪さんにも言われた。杏樹さんも家に居場所がなかったって」
「それもあるけど、1番は危ういところかな。だから、海に連れていったら喜ぶかと思って」
「……へ?」
あまりにも予想外すぎる答えに素っとん狂な声が出る。
喜ぶって、私が?
それって……。
「私のため?」
「そうだよ。それ以外に何があるんだよ」
いやいや。喜ばせたいなんて理由だったとは思わないよ。
海沿いの道が走りやすいってもっともらしいことを言われたら、そうなんだって納得しちゃうよ。
ずるい。
今さらそんなこと言うのずるい。
誰もいない展望台。
私たちだけに触れる風は、赤くなった私の頬を冷ましてはくれない。