ヨルガオ－午前０時の逃避行－

「杏樹さんとどんな約束を交わしたの？」

「ん？」

「さっき、私がいないと『約束を果たせない』って言ってたよね」


「ああ、あれね」と言って、ふっと微笑をこぼした由良くん。


「杏樹と最後に会ったときに言われたんだよ」

「……」

「好きな人ができたら言えって」


…………。

……。


え？

今、なんて……？


「由良くん……」

「ん？」

「そんなこと言われたら、私、自惚れちゃうよ……？」


だって、私がいないと『約束を果たせない』んだよね？

それじゃあまるで、好きな人を紹介するために私を連れていった、みたい……。


「いいんじゃない？自惚れても」

「……っ！」


いいの？ちゃんとわかってる？

もしかしたら由良くんは私のことが好きなのかも、って思っているんだよ？


期待させて違う、なんて嫌だよ……？