ヨルガオ-午前0時の逃避行-
ちらり横目がこちらを向いた。
惹かれ合うみたいに視線が触れて、思わず顔を背ける。
「由良くんは海が好きなの?」
なんでこっちを見たんだろう。
盗み見ているのがバレたのかな。
なんか緊張する。
2人きりだから……なわけないよね。
今さら。
「別に」
「じゃあなんで海に来たの?」
「そこに海があったから」
「詩人みたいだね」
そう答えると、今度はばっちり視線がぶつかった。
ドクンと胸が鳴る。
「さっきもそうだけど……俺の言葉を簡単に受け入れないでくれる?冗談に決まってんだろ。なんか恥ずいわ」
先に逸らしたのは由良くん。
……ああ、そっか。わかった。
昨日と違って今日は、居場所をもとめているのではなく、由良くん自身をもとめているからだ。
だから、緊張している。