ヨルガオ-午前0時の逃避行-
「は?誰だよ、お前」
「彼氏」
彼は言いきった。
「ちっ。待ってたのって男かよ」
彼氏……?そんなもの私にはいない。
いたら、まず最初に頼るもん。
それが嘘だと私はわかるけど、男たちは迫力負けしたのか簡単に信じた。
舌打ちをし、文句を垂れながら去っていった。
彼が振り返って。
「あんた、いくつ?」
ようやくご対面。
……知らない人だった。
端正な顔立ちの若い男性。
無造作にセットされた黒髪は夜に馴染み、血色の綺麗な肌は夜に負けないくらい艶やかに魅せる。
何がとは言えないけど、全体的に感じるのは大人っぽさとか色気。