ヨルガオ-午前0時の逃避行-
さっさと水を注いで、それを藤さんに渡した。
「はい、どうぞ」
「ありがとう。……で、光莉ちゃんは彼氏いるの?」
早く帰って、っていう意味で渡したのに。
しつこいな……。
「います」
返答を聞かないと気が済まないみたいだから、嘘をついた。
息が詰まるほどのストレスを感じながらも、そう答えた自分にビックリ。
防衛本能が働いたのかな。
……しかし。
「ふーん。妬けちゃうなぁ」
────甘かった。
「は……?」
不信感が声に出て、顔を上げた直後。
唇に柔らかい何かが触れた。