ヨルガオ-午前0時の逃避行-
『どこにいる?』
「……コンビニ」
『中?外?』
「そと……」
『すぐ行くから、中で待てるか?』
「でも……っ、わたし、パジャマ……」
『いいから』
由良くんは少しだけ声を荒げた。
涙を拭って、スマホを耳に当てたままコンビニに入る。入店音を響かせて。
店員さんがどこからか「いらっしゃいませ」と声をかけてきた。
電話はずっと繋がったまま。
ゴソゴソと音がするだけで声は聞こえないけれど、由良くんは電話を切らずにいてくれる。
電話向こうに由良くんがいる。
それだけで少し落ち着きを取り戻せた。