ヨルガオ-午前0時の逃避行-
雑誌コーナーに立って、由良くんが来るのを待つ。
コンビニの窓から見渡す外。隣接した道路には車の通りがなく、人の気配もない。
視覚情報だけで静かなのがわかる。
そんな中、野太いエンジン音がやって来た。
夜の静寂どころかBGMのかかった店内にまで響くバイクの走行音。
由良くん?
と思ったのも束の間。2台のバイクが通り過ぎた。
……由良くんじゃなかった。
時間にしてみれば5分くらい。
でも、その5分が長く永久のように感じた。
まもなくして、1台のバイクが駐車場に入ってくる。
私はコンビニを飛び出した。
「由良くん……!」
「お前っ……中で待ってろって言ったろ」
「待ってたけど、由良くんが見えたからつい……」
ヘルメットを取った由良くんの顔を見たら、さらに安心感に包まれる。