ヨルガオ-午前0時の逃避行-
私たちを出迎えたのは、点けっぱなしの電気。
「どうぞ」
「……お邪魔します」
招かれて、初めて入る1人暮らしの人の家。それも男の人の……。
そこに広がる空間が異性のものだって意識した途端、ドクンと心臓が跳ね上がる。
まず目に飛び込んできたのは、ベッド。
心理テストだったら真っ先に変態扱いされそうな回答だけど、そうではなくて。
ベッドの上のかけ布団が乱れていたから目を奪われた。
まるで、遅刻に気づいてそのまま飛び起きた、みたいな……。
飛び、起きる……?
────あっ。
そっか。本当に飛び起きてくれたんだ。
かけ忘れたドアの鍵も、点いたままの部屋の電気も、乱れたベッドも。
由良くんが飛び出して来てくれたことを物語っている。
優しさが詰まったその部屋に、また涙が出そうになった。私の涙腺は緩みっぱなし。