ヨルガオ-午前0時の逃避行-
目をつむって寝に入ろうとする……けど。
「由良くん」
「……」
「……」
「……あぁもうっ!わかったよ」
突然、由良くんが大きな声を出した。
びっくりして目を開けると、オレンジ色の淡い光に照らされて手が伸びてきた。
「……?」
「寝れるまで握ってていいから」
「ごめんね……」
「……謝るな」
手を握る。
大きな由良くんの手。あったかい。
ありがとう、由良くん。
迷惑をかけてごめんなさい。
でも、本当は眠れないんじゃない。
寝ようと思えばすぐにでも眠れる。
だけど、眠るのが怖い。
やっと手繰り寄せた由良くんの温もりが離れていきそうで、怖い。
知らない男の人の感触を思い出しそうで怖い……。