ヨルガオ-午前0時の逃避行-
────ピピピ。
聞き慣れた電子音に起こされて。
ん……?ここ、どこ……。
視界に映ったのは、自分のではないお部屋。
目に映るものも匂いも肌触りも、すべてがいつもと違う。
ぼーっとする頭を働かせて……数秒。
ここが由良くんの部屋であることを思い出した。
ついでに寝る前の出来事も思い出す。
一緒に寝てほしいと頼んだはずの由良くんは隣にいない。
「由良くん、おはよう。もう起きてたんだね」
「うんまあ……。つーか、起きるの早いな」
由良くんはすでに起きていて、ベッドに寄りかかるようにしてテレビを見ていた。
朝7時……早いのかな?
いつも通りだけど。
5分置きになるように設定したアラームをすべて切ってから身体を起こす。
不意にコーヒーの香りが漂ってきた。
「いい匂い」
「飲む?」
「うん」