ヨルガオ-午前0時の逃避行-
由良くんが出ていった部屋では、オーバー気味な役者の声が駆け走る。
微音で見ていたテレビ、てっきり朝のニュース番組かと思えば映画だった。
それも全体的に暗めな色調の映像。
それでいて演技オーバーなんだから、いわゆるホラー映画ってやつ。
意見の食い違いでもあったのだろう。
言い争いをする女子高生たち……
に近づく不吉な影。
彼女たちは気づいていない。
影が、彼女たちのいる部屋のドアノブに手をかけた。
とそのとき。
────ガチャ。
ドアが開いた。
「わっ!」
「……っ!なんだよ……」
「びっくりした……!」
タイミングよろしく、由良くんが入ってきた。
あまりに狙ったようなタイミングだったので、逆に驚かれるほど反応してしまった。