ヨルガオ-午前0時の逃避行-
「切るの忘れてたのか」
「朝からホラー映画を見てたの?」
「悪いかよ」
「悪くないけど……すごいね」
スプラッターものだったら間違いなくその日1日を憂鬱な気分で過ごせる自信がある。
再生を止めて朝のニュース番組に切り替え、ようやく朝を感じる。
「俺、昼からバイトなんだけど、光莉はどうする?」
「私は……学校に行くかな」
甲高い声のアナウンサーが伝える芸能ニュースをBGMにコーヒーを啜る私。
ゴクンと喉を鳴らすように飲み込んでからそう答えると、由良くんが動きを止めた。
ゴールデンウィークが終わると、海の日まで祝日はないから平日は毎日が学校。
もちろん今日も。
だから、朝7時なんて時間にアラームが鳴った。
休日だったらもっと寝ているもん。
目が覚めた瞬間に私は気づいたけれど。
「……ガッコウ?」