ヨルガオ-午前0時の逃避行-
初対面の男の人。
名前も正体も知らない。
もしかしたら狼以上に怖い人かもしれない。
ノコノコついて行こうとする私は悪い子。
危機感が足りない!って怒られそう。
……ふっ、誰に?
私には叱ってくれる大人がいないや。
私がシンデレラなら彼は魔法使いかな。
バイクはかぼちゃの馬車で、ヘルメットがドレス。
可愛らしさはないけれど、夢は見させてくれそう。
魔法をかけられて、かぼちゃの馬車に乗った。
「ちゃんと掴まってろよ」
そう言って彼が私の手首を自分の腰に巻きつける。
男の人に密着するのが初めてだからドキドキする。それが伝わっちゃいそうでちょっと恥ずかしい。
そんな私の思いを乗せて、バイクが走り出した。