ヨルガオ-午前0時の逃避行-

そういえば……。

澄ちゃん、藤さんのことは心配してくれたけど、由良くんのことは何も言わない。


「澄ちゃんは由良くんのことどう思う?」

「どうって?」

「危ないとか悪影響とか……」

「なにそれー。そんなこと思わないよ。光莉フィルターを通しているからかもしれないけど、聞く限りではいい人そうだし」


光莉フィルター……通しているのかな?

ありのままを述べたつもりだけど。


「それに、好きなんでしょ?その人のこと」

「えっ⁉」

「違うの?」


唐突に投下された言葉に大きく驚いてしまった。


それは、賑わう教室内で周りの人がビクッとこちらに反応を見せるほどだった。


大きな声を出してごめんなさい、と心の中で謝りながら声を絞る。


「ち、ちがうよ」

「ふーん……」


納得していない様子の澄ちゃんから目を逸らした。

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