ヨルガオ-午前0時の逃避行-
「ひーかりっ。かえろー」
ホームルームが終わって、澄ちゃんが私の席にやって来る。
いつも帰りは澄ちゃんと一緒。
だからテンプレの光景だけど、今日は……。
「澄ちゃん……あの、実は」
「……?」
由良くんが迎えに来ていることを話した。
すると、言葉よりも早く手を取られて。
ダッシュ!
「由良くん見たい!」と叫びながら廊下を走り抜ける。
「コラー!廊下を走るな」
途中、先生の注意もあったけど、鋼の心の持ち主・澄ちゃんはなんのその。完全無視。
相手が生活指導の先生だから後が恐ろしいんですけど……。
靴を履き替えてそのまま校門まで駆け抜ける。
入学式と卒業式、それとたまの身だしなみチェック週間。
1年以上高校に通って、校門が賑わっているのを見たのはそのときくらい。