ヨルガオ-午前0時の逃避行-
バイクの振動。流れゆく景色。
そして、抜けていく心地良い風。
すごい!
私を乗せているからたぶんゆっくり走ってくれているんだろうけど、それでもわかる疾走感。
気持ちいい。
最初はあった僅かな緊張感もいつの間にか消えて。
余計な考えすらも消えた。
ただ風に身を任せればいい。
今だけ本当に別世界にいるみたい。
やがて見えてきたのは、広大な闇。
潮の香りと、ザザーンと波打つ音がする。
それが海だと気づいた。
夜の海ってちょっと不気味なものがある。
バイクが止まって、浜辺に降り立ったとき、それをより強く感じた。
広大な闇。
その表現はかなり的を射ていると思う。
加えて、波が打っているから闇が押し寄せてくるみたい。