ヨルガオ-午前0時の逃避行-
「疲れてるの?」
「いや、寝てないだけだから少し睡眠を取れば平気」
ベッドを背にして床に座り、ちらっと振り返ったときにはもう、由良くんは眠りについていた。
スヤスヤと小さな寝息を立てるその寝顔は、不覚にも可愛いと思ってしまうほどあどけなさがある。
どこをどう切り取っても大人っぽさが消えない由良くんが、初めて年相応の男の子に見えた。
くすぐるのは母性だろうか。
なるべくゆっくり眠ってほしいから、私は、テーブルに教科書やノートを広げ、宿題をして過ごすことにした。