ヨルガオ-午前0時の逃避行-

「由良くんの分もあるけど、食べる?」

「うん、ちょうだい」


おねだりするような甘い声。

いつもの由良くんらしくなくて、ドキッとする。



準備をしようと腰を上げて、ふと。

伝えなければいけないことを思い出した。


「そうだ、あのね。今日は澄ちゃんの家に泊まらせてもらうことになったの」

「澄ちゃん?」

「さっき由良くんに挨拶した私の友達の澄花」



由良くんが寝ている間に改めて連絡を取って、

『10時以降は家にいるからいつでも来ていいよ』と言われた。


澄ちゃんの家まで電車で10分。徒歩の時間を含めると、ドアツードアで40分くらいだろうか。


あまり遅くに行くのはお家の人にも迷惑なので、10時半から11時の間に着くように出ようかなと考えていた。


< 96 / 267 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop