ヨルガオ-午前0時の逃避行-
「由良くんの分もあるけど、食べる?」
「うん、ちょうだい」
おねだりするような甘い声。
いつもの由良くんらしくなくて、ドキッとする。
準備をしようと腰を上げて、ふと。
伝えなければいけないことを思い出した。
「そうだ、あのね。今日は澄ちゃんの家に泊まらせてもらうことになったの」
「澄ちゃん?」
「さっき由良くんに挨拶した私の友達の澄花」
由良くんが寝ている間に改めて連絡を取って、
『10時以降は家にいるからいつでも来ていいよ』と言われた。
澄ちゃんの家まで電車で10分。徒歩の時間を含めると、ドアツードアで40分くらいだろうか。
あまり遅くに行くのはお家の人にも迷惑なので、10時半から11時の間に着くように出ようかなと考えていた。