ヨルガオ-午前0時の逃避行-
「あっそ。よかったな」
「うん」
「……」
「……」
「……それじゃあ、用意するね」
唐突に訪れた沈黙を破るように立ち上がって、部屋を出た。
なんだったんだろう、今の沈黙。
よかった、そう言われればそうなんだけど……。
冷たい言葉のように感じてしまった。
真剣に私の行く末を案じてくれているかもしれない彼に、“寂しい”なんて思う自分の心が面倒くさい。
今のは、本心を隠す沈黙だった。