ヨルガオ-午前0時の逃避行-
汁はできているので、うどんを茹でるだけで完成したかけうどん。
青ネギと梅干しをトッピングしただけのシンプルなやつ。
どんぶりによそって部屋に戻ると、由良くんはまだベッドの上に横たわっていた。
「できたよー……って、うそ。また寝ちゃったの?」
一度開かれたはずの由良くんの目が閉じられて、長いまつ毛が影を落とす。
じっくり見ていたくなるほど綺麗な顔。
だけど、恍惚しそうな気持ちをなんとか抑えて、由良くんを起こしにかかる。
「由良くん、起きてー」
由良くんの身体を揺すって。
それでも起きないなら……と思っていたら、パッと開かれたダークグレーの瞳と視線がぶつかった。
寝ていたわけではなかったらしく、案外、あっさり目を覚ましてくれた。
と次の瞬間……!
「うわっ!」
近所の迷惑も考えず、大きな声を出していた私。