ヨルガオ-午前0時の逃避行-
気づけば、由良くんの胸に収まっている。
「……あの、由良くん……っ!」
揺すっていた手を取られたかと思えば強引な力に引かれて、倒れ込んだ先が由良くんの胸だった。
そして、混乱する私をさらなる混乱が襲う。
息つく暇もなく、由良くんの腕に包まれた。
逃げることを許さないとでも言うかのようにぎゅっと強く……。
昨日寝るときにも抱きしめられたけど、自分からお願いするのとでは全然違う。
だって今は、どのような思惑があるにせよ、確実にそこに由良くんの意思が投影されているのだから……。
私の心臓は、相手に伝わりそうなほど音を立てている。
どんな小さな音でも逃さない、そんな空間に。
か細い声が落とされた。
「ここにいろよ」