クールなご主人様は溺愛中
遅れるって、どれくらいだろう。


お手伝い、大変なのかな。


どれくらいの時間、待っただろう。


屋台の終わりを告げる放送が鳴った。


何か買って食べてもいいんだろうけど、冬夜くんがいないのにそんなことする気になれない。


とにかく、冬夜くんが来るのを待ち続けた。


それからどれくらいが経っただろう。


花火が始まった。


神社からよく見える。


冬夜くんは、来ない。


1人で待ってる時間が、こんなにも寂しいなんて思わなかった。


1人で見る花火が、こんなにも色のないものに見えるなんて思わなかった。


......寂しいよ、冬夜くん。


「里奈!」


1粒の涙がこぼれたと同時に、声がした。


私が待ち望んだ、あの声。


「......冬夜、くん?」


「里奈」
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