クールなご主人様は溺愛中
目の前に大きな影が現れた。


「冬夜くん!」


「ごめんな、里奈」


そう言われると同時に、大きな花火が上がった。


お祭りの終わりを告げる花火。


「ほんと、ごめんな」


「ううん。見れたんだよ?一緒に花火」


そう言うと、冬夜くんも申し訳なさそうな表情が変わる。


「ああ」


無邪気な、嬉しそうな笑み。


初めて見た、そんな表情を。


「じゃあ、帰るか」


「うん」


冬夜くんとの帰り道、なんにも食べてないからお腹空いてるし、花火だってほとんどまともに見ていない。


でも、満足してるのは冬夜くんがいてくれるから。


そして、私の前に現れた冬夜くんを思い出す。


走ってきてくれたのか、呼吸も髪も乱れてて、少し汗ばんでた。


でも、そんな冬夜くんに胸が高なった。


もう、自分に嘘をつき続けるのは......無理かもしれない。
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