クールなご主人様は溺愛中
少し赤らんだ笑顔で、私に言った。


高鳴る胸が更に激しく暴れ出す。


「......」


「どうした?」


「......。帰ろう?」


「ああ」


誤魔化してそう言うと、冬夜くんが困ったような顔をした。


「あー、俺、両手塞がってる」


「片方、持つ?」


「重いぞ?」


うーん、でも、持てないほどじゃないだろうし......。


「だから、傘、俺にさして」


「あ、うん、いいよ」


もし持てなかった時、申し訳ないしそっちの方がいいかな。


私のさしてる傘に冬夜くんを入れる。


「濡れた?」


「ううん、あっちは降ってなかったし」


「そっか」


心臓が、ドキドキうるさい。


それが、私に問いかけてくるみたいに。


ほんとに、このまま無視する気?って、言ってるみたいに。


そう感じた。
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